【独学】労働事情の勉強法、教えます【労働基準監督官試験】
こんにちは、あふです。
この記事では、国家公務員専門職試験の労働基準監督官試験で出題される「労働事情」(択一)の勉強法について執筆します。
この勉強法で、私は多肢選択式の労働事情では満点を取ることができました。もちろん、予備校等には通っておらず、独学です。
労働事情の基本データ
専門試験(多肢選択式)・・・必須5問(No.8~No.12)
専門試験(記述式) ・・・必須1問
この記事では、多肢選択式の勉強法を執筆します。
記述式の勉強法についてはこちら(執筆予定)
多肢選択式の労働事情は、専門試験全40問(必須12問+選択28問)のうち、必須5問と、配点が高くなっています。
しかし、労働事情はこれといった市販のテキストがほとんど存在せず、予備校でも開講されない場合もあるようです。
さらに、出題される年の最新の統計データ(一般的には前年)に沿って出題されるため、過去問を解いてもデータが古い可能性があります。
以上の2点から、労働事情は非常に勉強しづらい科目であると言えます。
どんな問題が出るの?
多肢選択式の労働事情で問われる論点の一例を記載します。ここに掲載するのは一例であり、これだけが出題されるわけではありません。
5題ありますが、それぞれのテーマは毎年ほぼ固定となっています。
No.8 就業に関する問題
・労働力人口や就業者数はどのくらいか、男女はどちらが多いか、前年比増加か減少か
・外国人労働者数はどのくらいか、国別にみた時の1位・2位の国はどこか
など
No.9 雇用失業情勢に関する問題
・有効求人倍率や完全失業率はどのくらいか、前年比増加か減少か
・非正規の職に就いた理由として、一番多いのは何か
など
No.10 労働時間に関する問題
・所定内・所定外労働時間はどのくらいか、増加傾向か減少傾向か
・年次有給休暇取得率はどのくらいか
など
No.11 賃金に関する問題
・所定内給与はどのくらいか
・男女や学歴による賃金格差はどのくらいか
など
No.12 組合に関する問題
・推定組織率はどのくらいか
・組合員数が最も多い業界はどこか
など
以上のように、労働事情においては、統計を根拠とした、おおまかな数・増減の傾向を詳しく問う問題が多いことがわかります。
労働事情の勉強法
では、この科目をどのように勉強したらよいのでしょうか?
いくつかのテキストや資料をご紹介します。順番としては、以下のようになります。
①テキストで基本を学ぶ
②過去問で「何が問われるのか」を知る
③④白書などの資料を使って情報をインプット
では、順番にみていきましょう。
①テキストを使って基本を学ぶ
先ほど、労働事情のテキストはほとんど存在しないと述べましたが、全く存在しないということはありません。
おすすめは、TAC出版の「公務員Vテキスト12 社会政策」です。
このテキストは、前半が労働経済・事情、後半が社会保障と分かれていて、労基の労働事情で出題されるのは前半部分です。
用語の定義や大まかな最近のデータなど、量を抑えてわかりやすく作られているので、労働事情最初の一冊に最適です。
しかし、このテキストを完璧にするだけでは十分とはいえません。
このテキストは、改訂が数年に一度しか行われず、掲載されているデータが古いという問題点があります。最新版は2018年刊行ですが、私が2020年試験対策に使った際も、データが古く数字が変わっていると感じた部分が多くありました。
このテキストのゴールは、
「専門用語の定義と大まかなデータをなんとなく知る」
ことです。
例えば「就業率」と出てきた時に意味が大まかにわかり、6割くらいだったなと思い出せれば、大丈夫です。
②過去問を使う
十分なテキストの無い科目において、たよりになるのは過去問だけです。労働事情の問題は、統計の数字こそ毎年変わるものの、ほとんどの問題が過去問と同じ、またはかなり似通った内容が問われています。
しかし、大きな問題があります。労働事情には市販の過去問集がないことです。
では、過去問集の無い科目で過去問をどう勉強すればよいのでしょうか?
国家公務員試験では、人事院に直接請求することで過去問を入手することができます。5年分までしか請求できませんが、
労働事情5題×選択肢5肢×5年分=125(個)
の文章を検討でき、そこからどんな内容が問われているのかを学ぶことができます。
5年間だけでも、重複した内容が多く問われていることがわかると思います。
人事院への過去問請求方法は、すでに他のサイト様等で紹介されてますので、検索してみてください。
人事院の過去問の問題点は、解説が付いていないことです。(正答番号表のみ付いています)
5つの選択肢のうち4つの選択肢は間違った文章が書いてあるわけですから、その間違いの部分を見つけて正しい知識を身につけなければなりません。そこで、③④に示すとおり、出典資料を自分で調べて正しい情報を得ることが必要になります。面倒に思うかもしれませんが、この手順が1番正確な情報を入手でき、非常に勉強になります。自分で過去問の解説を作る意気込みで取り組むとよいでしょう。
労働事情で過去問を使う目的は、「解いてみて実力を試す」ことではありません。
「どんな内容が実際に問われるのかを知る」ことです。
③労働経済白書(第Ⅰ部)を使う
労働事情の勉強法を調べるとよく出てくるのが労働経済白書。
毎年発行されており、Amazon等で購入できるほか、厚生労働省のHPにPDF版で全文読むことができます。
厚生労働省の掲載ページ
令和2年版が試験までに発行されるので、令和3年試験を受験する方は令和2年版の労働経済白書を使って学習してください。
労働経済白書は2部構成になっており、
- 第Ⅰ部・・・近年の労働事情について
- 第Ⅱ部・・・特集(令和元年は、「人手不足の下での『働き方』をめぐる課題について)
と、後半はその年によって内容の変わる特集になっています。
多肢選択式試験は、ほとんどが第Ⅰ部から出題されます。
②で挙げた過去問研究で、どんな内容が問われているのかを把握して、その項目を重点的に確認すると良いでしょう。
毎年、No.8~No.12の労働経済白書5題のうち、No.8~No.10の概ね半分以上の選択肢が
という書き出しで、白書の内容が直接問われていますので、白書を用いた学習は非常に効果的です。
しかし、労働事情の問題の出典は、労働経済白書だけではありません。労働経済白書以外の内容は、どのように学習するのが効果的なのでしょうか。
④出典となっている統計資料を直接使う
テキストも参考書もなく、白書にも載っていない問題は、直接出典となっている統計資料を使うのが早く、情報にも信頼性があります。
「いくつも統計資料を見るなんて面倒くさい・・・」
と思うかもしれませんが、それぞれの資料の分量はそれほど多くなく、④の過去問研究でしっかりと問われる内容を頭に入れた上で調べれば、大したことはありません。
1日、あるいは半日あれば調べ上げられるでしょう。
以下に、頻出の資料と、そのリンクを挙げます。リンクは令和2年度版のデータになっています。必ず最新版を確認してください。
※労働力調査は、データが膨大で、しかもExcelファイルと大変見づらいので、過去問で問われている部分だけを重点的に確認するに留めましょう
- 厚生労働省「就業条件総合調査」No.9・10で頻出
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」No.11で頻出
⑤模試でアウトプット
おまけ的になりますが、知識の定着の確認には各予備校で実施される労働基準監督官模試を活用できます。
最新版の資料に基づいて制作され、解説もついていますので、余裕があれば腕試しをするとよいでしょう。
おわりに
いかがでしたか。
労働事情は労働基準監督官試験の中でも出題数が多いのに勉強法がわからないことの多い試験です。
一方で過去問と重複するような問題が多いので、きちんと勉強すれば、満点を狙うこともでき、ライバルに差をつけるチャンスになります!
ぜひがんばってくださいね。
ご質問がありましたらお気軽にコメントをお寄せください。お待ちしております!
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